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IoTプラットフォーム

Argoculus の機能と特徴 (その1)

Argoculus Topics発刊のご挨拶

IoT(Internet of Things)という言葉、この1年位で急激に話題性が高くなりました。 IoTとM2Mは何が違うのか、単なるクラウド化ではないのか、大騒ぎする必要はあるのか、IT分野特有のバズワードではないのか、それよりIoTとは一体何なのか、… 一言で簡単に回答できるものではありません。

当社はプログラムレスで本格的なIoTシステムを構築できるプラットフォームArgoculusを開発し市場に投入したのですが、お陰様で予想以上の反響を頂いています。 つきましては、当社製品に限らず、IoTに関連する話題、情報等を随時発信していきたいと考え、という名前でIoTトピックスを発刊することにしました。 ご意見、ご質問に限らず、皆様の投稿等もお待ちしております。

Argoculusの機能と特徴

このコーナーではArgoculusにかかわるいろいろな情報の紹介を行っていきたいと思います。まずはArgoculusで何ができるかについての概論からスタートしたいと思います。

IoTプラットフォームという言葉からは、遠隔地にあるデバイスやソフトウェアからの情報伝達をインターネット経由で簡便に行えるツールだろう、ということは容易に想像していただけると思います。 でも、そんなことだったら、昔からやってるじゃない、と多くの方が思うのではないでしょうか。 確かに、地震計のデータ収集や遠隔監視システムなどは、これまでも普通に行われてきています。それではIoT(もののインターネット)と従来システムは何が違う(?)のでしょうか。

いろいろ意見があるでしょうが、我々は次のように理解しています。 CPUや通信デバイスの小型化、高性能化、低価格化やICT技術の進展さらにクラウドの普及により、インターネットに接続しデータをやり取りする仕組みを構築したり、それを運用するコストが圧倒的に下がりました。 そのため、それまでコスト面で実現しがたかった製品アイデアも実現可能になっています。 すなわち、「接続すること」により生み出されるサービスの価値が、より多くの業界において新しいビジネスにつながるものと認識されるようになったこと、そしてハードウェア製品というより、そこに付加されるサービスを新たなビジネスとして考えられるようになったこと、ここに新しさがあるように感じています。

Argoculusは、まさにいろいろな「もの」をインターネットに接続して新しいサービスを実現するための仕組みを提供するものです。 通信費が格段に安くなり、サーバー構築費もクラウドサービスを利用することで大きな負担でなくなりつつある現在、ソフトウェア開発費を如何に抑えるかがIoT製品の導入・開発のポイントの一つになると考えています。 このような認識から、Argoculusを、「すぐに使えるIoTプラットフォーム」、「試運用から大規模システムまでシームレスに対応」、「優れたコスト・パフォーマンス」の3つの特長を持つ製品、サービスとして位置付けて提供しています。

さて技術的な詳細は、次号以降に譲ることとして、Argoculusという名称の由来について紹介します。 これはArgosとOculusをかけた造語です。Argosはご存知の方も多いかと思いますが、ギリシャ神話に登場する100の目をもつ巨人だそうです。 それらの目は交代で眠るため、常に目覚めており、時間的にも空間的にも死角がないとのこと。 Oculusはラテン語で目を意味するのだそうですが、最近はOculus Riftというヘッドマウントディスプレイの開発を行っているベンチャーの社名になっていますので、聞いたことがあるかと思います。

要するに、Argoculusはいろいろな情報を眠ることなく監視する巨人を意味しています。2つの言葉を組み合わせて造語としたのは、商標登録で苦労しないようにするためです。 世の中にまだ存在しない名称を考えようということで、インターネット検索でまったくヒットしないことを確認してこの名称に決めました。 英語読みで「アルゴキュラス」と発音していますが、「アルゴクルス」と発音してもらっても結構です。 今思えば、後者の方が日本人には発音しやすそうですね。

IoTに関するトピック

このコーナーでは、Argoculusだけに限らずIoT全般に関わる様々なトピックをお伝えしていきます。先ず第1回目は、Argoculusの開発に活用されているJavaに関するイベントを紹介します。

2015年10月25日から29日まで米国サンフランシスコにてJavaの開発者向けイベント「JavaOne」が開催されました。 JavaOneは、1996年から毎年開催されており、我々は9回目の参加になります。 今年は、Javaが誕生して20年目という節目であり、開発の歴史や将来計画について基調講演がありました。 Javaは、デスクトップアプリケーション用途に始まり、サーバー、さらに、近年は、組込み機器向けにも力を入れ、あらゆるコンピューターで利用することができます。 これにより、IoTシステムでは、サーバーからエッジデバイスまで同一のプログラミング言語が利用でき、Javaの特徴である「Write once、run anywhere」(注1)と合わせ、開発コスト削減やデバイス選択の自由度等、多くのメリットを受けることができます。 但し、現状では未だ、外部機器 (センサー等)との接続性やリアルタイム性に課題があり、今後のさらなる発展が望まれます。

また、基調講演後は、初歩的な内容からエキスパート向けまで400種類以上の技術セッションがありました。 ここでは、最新技術の紹介だけに限らず、著名な開発者による具体的なプログラム説明が数多くあり、価値のある4日間を過ごすことができました。 なお、これらのセッションには、IoT関連が数多くあり、世界的に注目されているのが分かります。 特に今年は、要素技術だけでなく、実システムに関する話題もあり、IoTの実用化が確実に進んでいることが実感できました。 例えば、ドローンをインターネット上のクラウドを介して操作するシステムでは、0.5秒間隔でドローンの姿勢やプロペラ回転数等をクラウドに送信し、さらに、PCからドローンをクラウド経由でコントロールしています。 送信間隔が短い通信を高速に安定して行うことは、 インターネットでは苦手としていましたが、軽量な通信プロトコルMQTTを活用することで遅延の少ない確実な機器制御を実現しています。


Argoculusも12月にリリースするバージョンで、MQTTを用いてセンサーデータ送信や機器制御ができるようになります。 また、IoT関連以外では、クラウド技術や仮想化技術のセッションに人気があり、自社サーバーからクラウドへの移行が確実に進んでいることが実感できました。 特にDockerと呼ばれる仮想化ソフトウエアは、使い勝手の良さや、クラウド上で利用できる事等、多くのメリットがあり、今後の仮想化環境の主流になることが予想されます。

最後に、JavaOneは、Oracle OpenWorld(Oracle社製品を主体としたイベント)と同時開催されており参加者は合計で数万人以上になります。 このためパーティーも豪華で、遊園地を貸し切り深夜0時過ぎまで一流アーティスト(今年はElton John)のコンサートが開かれます。これも情報収集に加えて大きな楽しみです。
注1) 「Write once, run anywhere」とは、「一度、プログラムを書けば、どこでも実行できる」というコンセプトで、ハードウエアやオペレーティングシステムに依存しないソフトウエアを開発するということです。