薄板非磁性導体の面要素による渦電流解析についてご紹介します。本機能は、非磁性薄板導体を面要素で近似するものです。 従来、どんなに薄くても三次元ソリッド要素に分割する必要が有りましたが、本機能を使用すると、面要素をメッシュ中に埋め込むだけで済みメッシュ分割が容易になります。 また、扁平な要素を作る必要が無くなり、解析の収束性も良くなると考えられます。本機能は、従来のソリッド要素と組み合わせて使用することができます。
Fig.1は正方形薄板導体を半分はソリッド要素で近似し、他の半分は面要素で近似した時の結果です。モデルは、y=0面およびz=面で対称とし、 正方形板は一辺20cmで厚さを1cmとしています。導電率は$5×10^7$としています。磁場はz方向に1T/secで増加しているとし、0.1secでの渦電流分布を示したものです。
この時点では、渦電流は厚さ方向に一様に流れ、表皮効果はほとんど有りません。面要素には、5mm(上半分)の等価的な厚さを入力しています。Fig.2は真上から電流密度強度分布を示したもので、右半分がソリッド要素、左半分が面要素です。ほぼ電流が対称に流れていることが解ります。また、List1にはこのときのジュール発熱を示しますが両側でほぼ一致しています。 このことは、ソリッド要素でも面要素でも同じ結果が得られることを示しています。本計算では、面要素のみの近似で充分です。
List 1. outputファイルの内容
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* Step No. 10 Time 1.0000000000e-01 sec *
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*** Sources *********************************************************
ID No. Amplitude(Current) Voltage Flux
1 1.00000e-01 -1.42397e+00 -5.58560e+01
*** Power Sources ***************************************************
ID No. Current Voltage
1 1.00000e-01 -1.42397e+00
*** Total Joule heatin loss in regions **********************
MAT No. Q (W)
14 3.5195e+00 :ソリッド要素部
1 3.4611e+00 :面要素部
Total 6.9807e+00
次に面要素とソリッド要素を組み合わせた場合について示します。Fig.3は 実際に厚みの大きい導体に対してソリッド要素で表し、薄板導体を面要素で表したものです。 薄板から、ブロックへ電流が広がって行く様子が分かります。この様に、ソリッド要素と面要素が自由に組み合わすことができます。ただし、面要素で磁性導体 を近似することはできません。また、表皮効果が予想され、厚さ方向に電流密度が分布することが予想される場合にも適用はできません。
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