面流入電流ソース(SUFCUR)は、バルク導体のある面に電圧を加え電流を流した場合を模擬します。
バルク導体に電流が流れると表皮効果が現れ、周波数により導体内の電流密度分布が変化し、コイルとしてみた場合そのインピーダンスが変化してきます。"ELMCURを用いた静磁場解析"でコイルを1ターンのバルク導体を考えて解析を行います。
今の場合は、流入面と流出面が異なり、Bn=0の面にありますが、閉じたループで流入面と流出面が同じ場合ついては、「ギャップ要素を用いた解析」の"閉ループでの面流入電流ソース(SUFCUR)"で説明します。
電流が流入する面(電源の正側の電圧が加わる面)を指定する必要があります。
今、その面をFig.1の面Aとします。電流の流出する面は面Bとなりますが、対称部分も考えますと一周する電流路になります。
面A、BはBn=0の面に定義する必要があります。
面Aに面要素を張り、面を定義し、ここでは、その物性番号を14とします。
面の向きはSUFCURとしてはどちら向きでもいいのですが、通過電流を計算する面と共用するために、導体から見て外向き(右ねじ)に定義します。
今の場合も面Aは線要素からz方向に拡張して作ります。
pre_geom2D.neuと2D_to_3Dにそのためのデータを用意します。
inputファイルでコイル領域、流入面等を指定します。
ここでは、$A-\phi$を用いていますが、$A$法より収束が早いためです。
低周波の場合や、SUFCURを用いたとき、ICCG法の収束が良くなります。
出力ファイルoutputの一部をList.1に示します。
通常のコイルを"ELMCURで解析した場合"と同様に、電源から見たインピーダンスを求めますと、
$$R + j \omega L = \frac{(0.0476377 + j0.110901)}{3000}(\Omega) = 15.88 + j 36.97(\mu \Omega)$$
となりますが、コイルに直列に加えている抵抗5$\mu \Omega$がありますので、コイル自体(銅導体中の渦電流の効果を含む)のインピーダンスは$10.88+j36.97(\mu \Omega)$となります。"渦電流を含む解析"と比べるため、3000Turn換算(3000の自乗倍)にしますと、$97.9+j332(\Omega)$となります。表皮効果のため、抵抗は大きくなり、インダクタンス成分は小さくなります。 また、これは8分の1モデルですので、全体平均発熱は$6.1196×8=48.95W$となります。 この値は、上記の抵抗値から求めた発熱 $\frac{(I^2×R)}{2}=\frac{(3000^2×10.88×10^{-6})}{2}=48.96W$と等しいはずです。 実際にほぼ同じ数値であり、矛盾なく解けていることが分かります。 面通過電流値は、設定通りコイル電流の半分と等しくなっています。 符号が違うのは面の向きが逆のためです。(通過電流面は導体から外向きに定義する必要があります。) Fig.2に位相0度における電流密度分布を示します。 また、Fig.3に発熱密度分布を示します。コイル電流および発熱が内側によっていることが分かります。
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