コイルとして使用される電流磁場ソースは"COIL(外部電流磁場ソース)"を除き電流分布を出力していました。 この度,導電率を設定した場合に発熱量も出力するようにしましたので紹介いたします。
簡単なモデルとして,Fig.1に示す"ELMCUR"でも使用している電気学会静磁界検証モデルを用いて,各種電流磁場ソースを使用した場合の発熱量とコイル抵抗を確認します。 3000Tに1Aの直流電流を印加し,導電率を5e+007$S/m$として静磁場解析します。
Table 1に各種電流磁場ソースによるメッシュ領域の発熱量を示します。
1Aを印加しているため,抵抗は発熱量と一致します$(R=Q/I^2)$。
計算時にEMSolutionで算出しoutputファイルに出力される抵抗はCIRCUITのREGION_FACTOR倍されていますので,REGION_FACTORで割算した値も参考までに示します。
各種電流磁場ソースで両者の値は当たり前ですが一致することが確認できます。
"ELMCUR"と"SDEFCOIL"がコイル断面で均一に電流分布することができる磁場ソースであるため,結果はほぼ一致するものと予想されます。
"PHICOIL"と"DCCURR"は条件が同一であるため全く同じ計算をしていることになります。
電流磁場ソース間で結果を比較しますと,多少の差が出ていますがELMCURとSDEFCOILの結果はほぼ一致し,PHICOILとDCCURRの結果は一致しています。
発熱量ポストファイル(heat)に電流磁場ソースの発熱量も出力するようにしました。
Fig.2(a)にSDEFCOILの,(b)にPHICOILの発熱密度分布図を示します。
SDEFCOILでは電流密度が一定となっているため発熱密度も一定に,PHICOLでは電流がカーブしている個所の内側に寄るため発熱密度も偏った分布となることが確認できます。
Fig.1 電気学会静磁界検証モデル
(1/8モデル)
ELMCUR | SDEFCOIL | PHICOIL | DCCURR | |
---|---|---|---|---|
発熱量 (抵抗) |
5.738 | 5.733 | 5.654 | 5.654 |
抵抗(output/8) | 5.738 | 5.733 | 5.654 | 5.654 |
(a)SDEFCOIL
(b)PHICOIL
簡単ですが,電流磁場ソースの発熱量出力機能について紹介しました。 DCCURRでは不可欠な機能になるかと思われます。 また,熱解析への発熱量の受け渡しとしてコイルの発熱量も使用できるかと思われます。
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