EMSolutionでは、通常の回転周期対称性と、z反転周期対称性を取り扱うことができます。それぞれ、対称および反対称条件があります。ここでは、磁石による磁場に対してその例を示します。
通常、空間磁場は、求めた解と形状関数から内挿して、要素中心や節点で出力されます。しかし、メッシュと独立した空間点や、メッシュ外の点での磁場を求める必要がある場合があります。要素や節点で求められた磁場からこれらを内挿で得ることはかなり難しい問題です。このため、EMSolutionでは、計算結果から磁性体や磁石内の磁化を求め、その磁場を積分することにより空間磁場を求めます。この積分において周期条件を考慮する必要があり、磁場計算と対称性の整合を取る必要があります。
ここでは、Fig.1に示す簡単なモデルでその例を示します。磁場の発生源は磁石のみとします。60度の周期対称性があるとします。磁石はz方向に磁化(1T)されているとします。磁石は、回転対称性の種類により差が出る様にz方向にずらしています。図に示す磁場評価線上の磁場を評価します。要素内挿による磁場と比較するために、評価線は要素の中心を通っています。
このモデルで、EMSolutionで使える回転対称性を示しますと、Fig.2のようになります。反対称では、対称に回転させた場合に磁場等のField量が反転します。回転Z反転対称は、回転と同時に位置をZ=0面に対して反転させます。主としてクロータイプの回転機等で用いられます。Fig.2内の矢印は磁化の向きを表しています。磁場も同じ対称性を持ちます。
回転対称の場合は、回転(今の場合60度)で磁場の方向は変わりません。回転反対称の場合は、磁場の全成分が反転します。回転Z反転対称の場合は、z成分は同じで他の成分は反転します。回転Z反転反対称の場合は、その逆となります。
以下、各対称性での解析結果を示します。磁場評価線上の磁場分布を示します。各図において、●印(ドット)は要素内挿によって求めたもので、実線は磁化磁場を積分 して求めたものです。黒が径方向成分、赤が角度方向成分、青がz方向成分を示しています。実際は60度までしか求めていませんが、対称に変換して、120 度までの磁場を示しています。それぞれ想定された対称性があることがわかります。
磁場の大きいところで、要素から求めたものと積分により求めたものの間で誤差が大きくなっています。おそらく、磁場勾配が大きく、要素内形状関数で 磁場を表しきれなくなっているものと思われます。より精度を出すには、メッシュをより細かくする必要があります。今回の例では、磁石上側の空間メッ シュが粗くなっています。両者のどちらがより精度が高いかは一概には言い切れませんが、どちらかと言うと積分によるものが精度が高いと思われます。
回転Z反対称を使いますと、通常の回転対称の解析の半分のモデルで解析できます。磁化磁場の積分による方法は、各要素でガウス積分しますので、ポスト 処理の計算時間が長くなります。ただし、任意の空間点での磁場が計算されますので便利です。また、領域に分けて、その部分だけからの寄与分を求める ことができます。この積分は、磁性体および磁石、外部電流磁場ソース(COIL)に対して積算することができます。ELMCUR、SDEFCOILのソー ス電流や渦電流による磁場を積算する事も可能です。→"磁化および電流の積分空間磁場"
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