直流渦電流場解析の代表的のものとして、リターダの解析を示します。
Fig.1の様にコイルの巻かれた鉄ヨークからなる固定子の周りを鉄のロータが回転します。
ロータ上に渦電流が発生し、ロスが生じブレーキ力が発生します。図のモデルは上半分30度モデルです。30度ごとにコイル電流が反転するものとします。境界条件は、z=0でHt=0とし、30度周期反対称条件とします。ここでの鉄材は非線形特性を持つとします。代表的なSS40の特性を与えています。
まず、直流渦電流場解析で求められた、回転数に対する発生トルクをFig.2に示します。
発生トルクは低速度でほぼ回転数に比例して増加し、100回転/sec程度で減少に転じます。このような解析を過渡計算で行いますと、各計算点を求めるだけで多大の時間を要します。本計算は5.6万程度の要素数ですが、Pentium 500MHz機で一点計算するのに1時間程度かかっています。しかし、過渡解析に比べて格段に計算時間は小さいと思われます。
Fig.3には、100回転/sec時の磁束ベクトル図を示します。ヨーク中を流れる磁束が回転するロータにはいると、渦電流により磁場が表面に集中し、磁場強度が高くなります。
Fig.4に、このときの渦電流を示します。ロータ前面に集中して流れています。
Fig.5には、0.1~1000回転/secでのロータ内の磁場強度分布を示します。高速回転につれて磁場が表面に集中します。本解析では表面の要素が1層であり、高速回転領域での解析精度には疑問が残ります。このくらい高速になりますと、表面をもっと薄い層で分割する必要があります。
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