従来、6面体要素と4面体要素を一つの計算で同時に使用するためには、その間に3角柱要素やピラミッド要素を挟み込む必要がありました。ピラミッド要素は多くの汎用プレ・ポストプロセッサでは取り扱いが難しく、また、メッシュ生成が煩雑なものになりがちでした。 EMSolutionでは、6面体と4面体の接合を可能なものとしました。このことにより、以下の例題で示しますように、今まで非常にメッシュ生成が困難であったものがかなり容易に行えるようになり、解析が可能となりました。 Fig.1のような解析モデルを考えます。中空の導体が図のようにコイル状に巻かれ、その両端に交流電圧が印加され導体中の電流や空間磁場を求めることを考えます。このとき、導体の肉厚が電流の表皮深さより厚い場合、導体を厚さ方向に何層かにメッシュ分割する必要が生じます。
このような解析に対してメッシュ分割を考えますと、導体は6面体要素で構造メッシュとするのが妥当かと思われます。実際、Fig.1の導体のメッシュはFEMAPによって生成しました。 そこでは導体中心線を定義し、断面のメッシュ分割を中心線に沿ってスウィープすることによって生成されます。肉厚方向に10層に分割しています。同時に管内の空気も同様に生成しています。4面体でこのようなメッシュを自動分割することは汎用のメッシュジェネレータでは困難と思われます。 また、"4面体で扁平な要素で渦電流解析を行いますと、精度が低下する問題"があります。
一方、導体周りの空間をメッシュ分割する必要がありますが、これを6面体で構造メッシュに分割することは至難の業です。むしろ、4面体で自動分割したいものです。 Fig.2はFEMAPにおいて導体の外部空間をメッシュ分割したものです。ここでは、導体の表面要素を抽出し、それを3角形に変換したものに、空気領域境界の3角形分割した要素を加え、空気領域の外周として、その内部を4面体で自動分割したものです。
以上により、導体および管内は6面体、外部の空気領域は4面体でメッシュ分割されたことになります。ただし、要素境界でFig.3のように4角形面に二つの3角形が接合し、浮き辺が生じますが、それを適切に処理し、解析できるようにしました。ここで、節点が共有されていることが重要です。
本モデルによる解析結果を以下に示します。Fig.4,5に導体中の電流密度を示します。電流はコイルの内径側に集中し、Fig.5の拡大図では表皮効果が見られます。Fig.6に断面の磁束密度強度の分布を示します。
ここで示しました接合のしかたは、6面体あるいは3角柱要素の四角形面と、3角柱あるいは4面体の三角形面の接合に汎用的に使えます。ただし、すべて一次要素に限るものとします。
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