ここでは、永久磁石モータのコギングトルクの解析を2次元で解析します。EMSolutionでは、このような解析は、固定部と運動部の間の空間にスライド面を設け、両側がスライド面に沿って動くと考えます。
まず、Fig.1およびFig.2のようにロータとステータの二次元メッシュを作製します。三角形と四角形で作製して下さい。今の場合メッシュをCRC/ATLASで作っていて、それぞれをrotor_mesh2D、pre_geom2Dとします。FEMAPで作った場合は、.neuの拡張子を入れてください。ロータの最外面およびステータの最内面は、同じ円上(スライド面上)にあるものとします。 また、それぞれ少なくとも一層の空気層がスライド面に接して必要です。スライド面に接している運動方向のメッシュは必ずしも等間隔である必要はありませんし、ロータとステータのメッシュが同じでなくても構いませんが、できるだけ粗密は少ない方が計算が安定します。スライド面を定義するため、二次元メッシュの場合はロータメッシュでスライド面上にある点を点要素(FEMAPの場合はMass要素)として加えます。
Fig.1 ロータ解析メッシュ
Fig.2 ステータ解析メッシュ
ファイルinputでは、境界条件(90度反対称周期境界条件)、スライド面の運動方向の分割、磁石の磁化、回転速度、磁性材の特性等を入力します。スライド面の分割は、メッシュの分割と同程度にして下さい。スライド面の運動方向分割幅がメッシュ分割幅の1/2程度以下になりますと計算が不安定になります。計算は、入力に従い回転を与え、連続的に行われます。今の場合、渦電流を含まない静磁場解析ですので、回転速度は関係ありません。
Fig.3はロータが15度回転したときの磁束密度分布矢印図です。Fig.4には節点力の分布を示します。主としてステータとロータが引き合う力となります。回転方向のトルクは、これらの回転方向の力を積算して導出します。コギングトルクの角度依存性の計算結果をFig.5に示します。 Fig.6に実測値と他のプログラムによる結果を示しますが、二次元解析のため若干大きくなっていますが、良く一致しています。Fig.5にはロータ側とステータ側の積算トルクを両方プロットしていますが、良く一致しています。本来作用反作用で一致するべきものです。
Fig.3 磁束密度矢印図(15度)
Fig.4 節点力分布
Fig.5 トルク角度依存性
Fig.6 実測値と他の解析結果
電気学会技術報告第565号、回転機の電磁界高精度数値シミュレーション技術、1995年10月、24ページ
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