EMSolutionでは、磁性体や導体に働く力を節点力法により求めます。節点力法は多くの場合精度の良い結果を出しますが、時には疑問な結果が出ることがあります。ここでは、その一例を示します。
TEAM WorkshopではProblem23として、磁石に働く電磁力を求める問題が出されています。Fig.1にそのモデルを示します。黄緑色の円筒が磁石で下向きに磁化されています。黄色がコイルで、電流が流れることにより、磁石に上向きの力が発生します。 解析は二次元軸対称として行います。コイルは変形ポテンシャル内にLOOPで定義します。
まず、Fig.2に求められた電磁力を示します。二つの結果は、磁石の中心で上下対称なメッシュ(Fig.3) と非対称なメッシュ(Fig.4)によるものです。非対称なメッシュでは、コイル電流がゼロの場合にゼロでないトータル力が算出されます。Fig.3とFig.4を比べていただければわかりますが、ほとんど似通ったメッシュです。
Fig.5、Fig.6に両メッシュでの磁束密度の分布を示します。ほとんど差異が認められません。また、Fig.7、Fig.8に節点力分布を示します。この場合も差異は小さなものです。ところが、トータルの力としては、Fig.2の電流0の非対称メッシュでは誤差として電磁力が出てきます。これは図からも明らかなように、本来上下対称に節点力が分布するはずなのですが、メッシュのゆがみにより、上下対称性が崩れ打ち消し誤差が出るためと考えられます。Fig.7にコイル電流が0.1A*280Tの場合を対称メッシュで示しますが、節点力分布の変化はわずかです。このことは、各節点力が、トータルの力と比べても大きいことを示しています。このように、磁石自身の作る磁場よりコイルの作る磁場が小さい場合は、メッシュの少しの非対称性でも誤差が大きく出てしまいます。
トータル力だけが問題となる場合は、表面磁化法あるいは表面電流法により磁石中の磁化あるいは電流を求め、外部磁場による電磁力を求めることが考えられます。この場合は、磁石自体の自己力は現れませんので、打ち消し誤差がなく精度良く求まるかもしれません。 EMSolutionは現状その方法を採用しておりません。現状での対策としては、以下のことが考えられます。
電磁力解析の問題点 空気領域の節点力を含めて計算し、改善する方法を、"電磁力解析の改善"に示します。
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