EMSolutionで採用しています節点力法と、従来良く使われてきたMaxwell応力を表面積分する方法は、違って見えますが密接な関係があります。
まず、両手法とも同じMaxwell応力テンソル$T_{ij}$を用います。節点力法におきましては、(1)式を用いてMaxwell応力を積分し、各節点$n$の電磁力($i$方向成分)を求めます。(1)式で$w_n$は節点$n$の通常の形状関数です。$w_n$は節点$n$で1、他の全ての節点で0になるような関数で、節点nを持つ有限要素の中だけで0でない値を持ちます。 このため、結局、(1)式の積分は、節点nに結合している要素内だけで行うことになります。
$$f=-\int T_{ik}\frac{\partial \omega_n}{\partial x_k} d\Omega (1)$$
Fig.1の様に表面がS1で囲まれた磁性体あるいは導体を考えます。また、有限要素1層だけ外側の面S2を考えます。物体内および表面の節点力を加え合わせて、トータル力を求めます。
(2)式のように変形して行きますと、Maxwell応力を表面で積分したことになりす。 (2)式の中で、$\omega$は(3)式のように表せますが、和を$S1$とその内部の節点に対して行いますと、$S1$およびその内部で$0$、$S2$およびその外部で$0$になり、その間は補間された関数となります。 $\omega$の 空間微分をとりますと、$S1$の内部および$S2$の外部で$0$となります。 このため、(2)式の積分は$S1$と$S2$に囲まれた領域での積分となり、$S1$と$S2$が非常に近いとしますと、表面積分となります。 このように考えますと、節点力法では、$S1$と$S2$の間のMaxwell応力を平均化して積分したと考えることが できます。 一方、Maxwell応力法の場合は、$S1$と$S2$の中間の面で面積分する事になります。 $S1$と$S2$が非常に近く、計算誤差が無いとしますと、節点力法とMaxwell応力法とは等価です。
$$\sum_{n}f_{ni} = -\int T_{ik}\frac{\displaystyle \partial \biggl( \sum_n \omega_{n} \biggr) }{\displaystyle \partial x_{k}}d\Omega = \int_{S1-S2}T_{ik} \nabla_{k}\omega d\Omega \cong \int T_{ik}n_{k}dS (2)$$
$$\omega = \sum_{n} \omega_n (3)$$
上のように考えますと、節点力法において、磁性体等の内部のMaxwell応力がトータル力に関係してこないことがわかります。 もちろん、Maxwell応力法でも関係しません。 Maxwell応力法では、多く積分面の位置が問題になります。 特に、磁性体等の近くに積分面をとると誤差が大きくなることがあります。 面上の局所磁場を積分して行くため、局所磁場の計算誤差が大きく効いてくるためと思われます。 節点力の場合は1層ですが、要素内で平均化されますのでその影響が小さいものと思われます。 しかし、やはり節点力の場合も上のS1の面を磁性体等の表面から離して定義した方が精度が上がることが考えられます。 節点力の分布を見ますと、多く場合空気領域にも力が現れます。 特に、角点近くの領域で大きくなります。磁場解析誤差が無ければ現れないはずのものです。 Maxwell応力法の場合と同じように、磁性体等から積分領域を広げて積分した方がトータル力の精度が向上すると予想されます。 トータル力だけを求める場合は、そのように領域を広げてもかまわないことは上の求め方から、ご理解いただけると思います。 上のS1の面は磁性体等の表面以外も積分領域を選べることができるようになっております(“電磁力解析の改善”)。 節点力法の特徴は、Maxwell応力法と異なり、物体に働く局所力が求まることです。 このような局所力は磁性体等の変形が問題になってきたときに重要になると考えられます。 トータルの力やトルクだけが問題になる場合は、Maxwell応力法と基本的に異ならないと言えます。
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