ここでは、スライド面を複数面使用した場合の解析例を紹介します。解析は直流場渦電流解析としていますが、静磁場、過渡、AC定常解析でも同様に使用できます。 このモデルは、"直線運動導体(山崎モデル)"をz=0面での対称性の条件を除き、下側に折り返したものです(Fig.1)。もちろん、系が上下対称ですのでこの必要は無いのですが、テスト計算として行います。この場合、2面のスライド面が必要となります(運動導体を囲むようにスライド面を定義すれば1面でも解析はできます)。スライド面は Fig.1のように2本の直線で定義できます。
スライド面の入力はTableⅠ.のように行います。SURFACE_MAT_ID=-1で複数のスライド面入力とします。LINE_INPUT=1でスライド面を直線で定義することを指定します。このとき、SLIDE_NDIV,FITNESSは、下行で改めて指定するため意味を持ちません。その後、スライド面数(NUMBER_SLIDING_FACES)を入力後、各スライド面の入力を行います。各スライド面に対し、SLIDE_NDIV(運動方向分割数)、SURFACE_MAT_ID(スライド面のID番号,他のMAT_IDに重複しない番号)、FITNESS(可動部、回転部のメッシュとスライド面の分割メッシュとの距離が、スライド面運動方向分割幅にこの係数を掛けた値より小さくなった場合、両メッシュは完全に一致するとします。通常0.でよい。)および、直線の両端の位置、(SX,SY,SZ),(EX,EY,EZ)をm単位で入力します。 SLIDE_NDIVおよびFITNESSは面ごとに異なっても構いません。実行時には直線の定義より、その上に乗っているメッシュ内の辺を探索します。このため、直線上にメッシュ内の辺が乗っており、それらが繋がっている必要があります。
Table I. 複数のスライド面の直線指定(直線指定)
Fig.2に導体が10m/sで運動した場合の直流場渦電流解析を行った場合の、渦電流密度強度分布を示します。また、Fig.3に磁束密度強度分布を示します。結果は、 このモデルは、"直線運動導体(山崎モデル)"と全く同じですが、上下対称に解が求まっていることが解ります。
2番目の例として、
このモデルは、"リターダモデル"を変更したものを用います。
Fig.4のように、ロータの外側にも固定子があり、ロータは両側の固定子の間を回転するとします。このとき、ロータの両側にスライド面を指定します。本モデルは、Fig.5で示す二次元メッシュをz方向に拡張して作成しています。このとき、スライド面は図の2点(FEMAPでは質量要素)で指定することができます。 2D_to_3Dファイル入力により点要素は辺要素に変換されます。この辺要素のMAT-IDを1、2とします。このとき、スライド面の入力はTable 2のようになります。LINE_INPUT=0とし、SURFACE_MAT_IDに辺要素のMAT-IDを指定します。ロータが100回転/sでの解析結果をFig.6、7に示します。
Table II. 複数のスライド面の直線指定(辺指定)
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