永久磁石領域に着磁曲線を用いた非線形解析を実行し,残留磁束密度を推定する機能を開発しましたので,説明いたします。
解析事例として,図1に示す電気学会ベンチマークモデル「Dモデル」を用います。着磁解析のため図の位置でロータを固定してコイルに直流通電することを考えます。コイル電流の作る磁界はロータ外向きにN極の永久磁石に着磁することになります。
着磁電流を700A, 1400A, 2100Aとして着磁曲線と着磁率曲線を用いた着磁解析を行います。本機能は現状静磁界解析のみに対応していますので,着磁電流を通電させた静磁界解析結果を図2に示します。上段が通常の非線形解析で磁化$M$を算出した磁化分布,中段が着磁率とリコイル透磁率を考慮して残留磁束密度$B_{r}$を算出した磁束密度分布,下段が中段の解析で得られた着磁率分布です。着磁電流を上げていくと着磁率が上がっていき,2100Aでは着磁率はほぼ1になっていることが確認できます。単純に着磁率1となる着磁曲線からリコイル透磁率で残留磁束密度を算出するとおよそ1.37Tとなりますので,1400Aではまだ着磁が不十分であり,2100A程度ないと十分に着磁できないと思われます。なお,着磁電流が低い場合に磁石両端の磁化および残留磁束密度が大きいのは,フラックスバリアによるためです。
次に,定格条件である3Arms, $\beta$=25degの初期磁化分布として,先の解析で求めた残留磁束密度分布を入力した解析を行います。図3にトルク波形を示します。着磁電流が大きくなるとトルクも上がっていることが確認できます。
以上簡単ですが,静磁界解析での着磁解析機能について紹介しました。
ご使用いただけますと幸いです。
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