電磁界解析ソフトウェアEMSolution

磁化および電流の積分空間磁場

概要

有限要素法においては、通常空間磁場は解析結果から有限要素の形状関数を内挿して求められます。EMSolutionは、要素中心あるいは節点位置での空間磁場分布を出力します。しかし、任意の点での空間磁場が欲しい場合があります。また、要素中心や節点での磁場出力はデータ量が大きく、その中から必要な点の磁場を探し出すのはかなり労力を必要とする場合があります。

EMSolutionでは、従来から、ポスト処理として磁化の作る磁場を積分し、任意の空間点の磁場を求めることができました。今回、電流 (ソース電流、渦電流)の作る磁場も積算するように致しました。このことにより、有限要素から求めた磁場と等価な磁場を求めることができるようになりました。この積分は発生源に分けて求めることができ、どの部分から起因する磁場であるかも求めることができます。

解説

電流および磁化からの磁場積分は下の式で行います。

$$B(r_p) = \frac{\mu_0}{4\pi} \int_{\Omega} { \frac{\mathbf{J(R)}×\mathbf{r}}{r^3} dv \:-\: \frac{1}{4\pi} \int_{\Omega} \left( \frac{\mathbf{M}}{r^3} \:-\: \frac {3(\mathbf{M} \cdot \mathbf{r})\mathbf{r}}{r^5} \right) } dv$$

ここでは、$r= r_p-R$,$r=|r|$です。
$r_p$は求めたい空間点の座標、$R$は積分点座標です。
積分は、各要素内でガウス積分します。

簡単なモデル(Fig.1)でその例を示します。本モデルは、電気学会三次元静磁界検証モデル(電気学会技術報告(II部)第286号、三次元静磁界数値計算技術、昭和63年12月)を模擬したものです。同じモデルを"静磁場解析:ELMCUR"で解析していますが、メッシュを細かくし、遠方境界もより遠くに取っています。ここでは、コイル電流は"SDEFCOIL"で定義しています。静磁場解析で、磁化は中心コア内、電流はコイル領域のみにあります。

Fig.2に節点量として出力された磁場と、ここでの積分によって求められた磁場の比較を示します。若干誤差はありますが、両方法によるものは良く一致しています。この誤差の原因は、主として境界条件によります。遠方境界条件はBn=0の電気壁としています。境界条件は等価的に計算領域に誤差磁場を発生します。この誤差は遠方境界を近づけると大きくなり、計算の誤差や遠方境界の位置の目安にもなります。

Fig.1 解析モデル

Fig.2 x=0.06m、y=0の線上の磁場

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