EMSolution入力で、非線形収束のオプションとしてINIT_OPTIONがあります。このオプションは非線形繰り返し計算を始める前に、初期値として前のステップの値を使う(INIT_OPTION=0)か、ゼロクリアする(INIT_OPTION=1)か、を指定します。非線形収束が充分で無い場合には、解は初期値の影響を受けます。特に2ポテンシャル法でCOIL(外部電流磁場ソース)を使用しますと、ICCG法の収束が悪くなり、非線形収束も悪くなり、その影響が大きくなります。INIT_OPTION=1としますと、前のステップの影響は無くなりますが、最初から非線形計算を始めますので計算時間は多くかかります。
この効果をTEAM Workshop 問題#20で調べて見ます。
Fig.1は当問題でコイル電流を3000ATとしてそれに、1ATの正弦波を加えた場合のプランジャに働く電磁力の変化を示したものです。この問題では、ICCG法が$10^{-5}$程度で発散し、今のような小さな変動に対して非線形収束が充分でありません。INIT_OPTION=0としますと、前のステップの影響を受けて、滑らかな変動が見られません。INIT_OPTION=1としますと、滑らかな変動が見られ、妥当な結果が得られたものと思われます。
r9.2よりCOILを使用した場合に補正(正則化)ができるようになり、ICCG法の収束が良くなり、また非線形収束条件も厳しくできます。正則化を行いますと、INIT_OPTION=0でも、前のステップの影響を受けず、妥当な結果が計算されます。INIT_OPTION=1で正則化を行わない場合と、INIT_OPTION=0で正則化を行った場合とは、殆ど同じ結果となっています。
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