二次元解析における解析精度および解析上の注意点についてサンプルモデルを使用し説明します。
ここでは、導体が一方向に長く、それに直交して磁場が加わる場合の磁場解析を、二次元解析で近似する方法を述べます。 まず、三次元解析で、Fig.1の様な、分割モデルで三次元解析をする事を考えます。導体は、2cm×2cmの断面で、20cmの長さがあり、y方向に1Tの磁場が交流で加わるとします。導体は銅とし導電率を5.0×107S/mとし、加わる磁場は50Hzで変動するとします。三次元メッシュは、二次元メッシュを2D_to_3Dにz方向に拡張することにより作成しています。
この問題で、3次元交流定常解析を行いますと、Fig.2の様な渦電流密度分布が得られます。Fig.3、4にz方向の電流密度分布を位相0および-90度にたいし、等高線で表します。これらの図からわかりますように、導体の端を除き、電流の分布はz方向にほぼ一様になっていることがわかります。このことから、x-y断面の二次元計算で良い近似が得られるであろうことが予想されます。 上の三次元解析で、要素数は12000に達しており、また、かなり細長い要素を使用しているためICCG法の収束もかなり悪くなっています。導体の表皮効果や、より複雑な断面形状を持つ導体を考えますと、二次元計算で解析できれば、解析効率は格段に向上します。
さて、二次元計算による近似解析を行いますが、ここで重要なことは、導体断面を横切る電流の総和がゼロになる必要があり、その束縛条件を課さなければならないことです。これは、EMSolutionの面流入電流ソース(SUFCUR)を用いて、条件を課すことができます。導体断面にSUFCURを定義し、定電流源に接続し、その電流を0とすれば、この条件を課すことができます。もしこの条件を課さない場合は、電流の総和は一般にゼロとならず、印可磁場や境界条件によってきます。今の解析の場合は、x=0面で対称ですので、Bn=0の境界とし、xが正の部分だけを解析するとすると、自動的に反対部分は電流が反転しますので、SUFCURによる条件設定は必要なくなります。ここでは、一般の場合を考え、その対称条件は考慮しないとします。
Fig.5、6に二次元計算による、z方向の渦電流密度分布を示します。三次元解析のFig.3、4に対応します。断面での分布は非常に良く一致していることが見られます。数値的にも3桁以上の一致を見ています。Fig.7、8に磁束密度の分布を示します。位相0度の時点は、印可磁場が最大時で渦電流により、磁場がゆがめられています。また、-90度は印可磁場がゼロになる時点で、現れる磁場は渦電流によるもので渦を描きます。
ここでは、一導体について述べましたが、多数の導体が平行して配置されている場合も同様に解析できます。この場合、各導体の断面にそれぞれ、SUFCURを定義する必要があります。
(注意)ここでは、y方向の一様磁場を加えていますが、そのとき入力に注意が必要です。このことにつきましては、FAQのQ6をご覧下さい。(FAQはユーザ限定Wikiに掲載しています。)
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