バルク導体を解析する方法として,渦電流を含む場合は"SUFCUR"を用意しております。しかし,SUFCURは静磁場解析(STATIC)では使用できません。 静磁場解析では,"PHICOIL"が似た機能として使用できますが,コイルを想定しているため導電率の異なる部材が接触した導体には適用できませんでした。 このたび,PHICOILを拡張した電流磁場ソースDCCURRを追加しましたので,紹介いたします。 DCCURRは定常電流場解析と同様の計算を行い,その電流分布をPHICOIL同様,入力電流分布として使用するものです。 電流分布計算機能としては,"定常電流場解析"と同等ですが,DCCURRは電流分布による磁場分布が計算でき,ジュール損,抵抗を出力できます。
Fig.1に示す,二分岐する導体を模擬したモデルを用いて解析します。 分岐する二つの形状は同じですが,片側の導電率を1/2にしています。 すなわち,抵抗が2倍になることと等価になります。 入力電流として分岐前の下面に90Aの直流電流を印加して解析します。 Fig.2に電流分布を示します。 導体だけの解析であれば,"定常電流場解析"機能を用いて解析することも可能です。 電流分布に偏りがあることが確認できます。 分岐先の通過電流量を,"通過電流計算面"機能を用いて算出すると,ほぼ1対2の割合の電流が通過していることが確認できます(Table 1)。
右分岐 | 左分岐 | |
通貨電流量 | 30.66A | 59.34A |
発熱量 | 0.175W | 0.328W |
抵抗 | 1.86e4Ω | 0.931e4Ω |
発熱量は,"磁場ソースの発熱量出力"機能により,以下のようにシリーズ毎にシリーズ内のパート別で出力されます。 領域ごとの抵抗を算出したい場合は,領域ごとの発熱量$Q$を用いて$R=Q/I^2$より算出できます。 Fig.4に導体電流による磁束密度分布を示します。
発熱量の出力
簡単ですが,バルク導体の直流電流場解析について紹介しました。 本機能はバルク導体の直流電流分布とそれによる磁場分布を求めることができます。 導体の渦電流を含む過渡解析の初期値としてもご使用いただけます。 その場合,電流磁場ソースを"SUFCUR"に変更し,要素特性を導体として設定する必要があります。
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