COIL(外部電流磁場ソース)を利用すると、有限要素メッシュとは独立にコイルを定義して磁場計算を行うことができます。COILのみのモデルにおいて、B_INTEGの磁場評価点をメッシュデータとして入力し、ビオ・サバール則によりその磁場を求めて出力する機能を紹介します。これにより、境界条件の設定なしで精度よくCOILによる磁場を計算することができます。
例として、Fig.1に示すCOIL(赤色)による磁場分布を、B_INTEGの磁場評価点の領域(黄色)で求める場合を考えます。COILの形状や寸法は、inputデータに記述します。B_INTEGの磁場評価点は、メッシュデータであるB_integ_meshファイルを入力データとします。ファイル形式は従来のpre_geom等と同様です。解析を実行するとB_integ_mesh中に定義された各節点位置において磁場計算を行い、指定された形式でB_integファイルに結果を出力します。ここで、B_integ_meshファイルにはポスト処理でのコンター表示等にも使用しますので、節点データだけでなく要素データも含めてください。要素データは、ソリッド要素、シェル(面)要素のどちらでも構いません。post_geomファイルにはB_integ_meshのデータは含まれず、COIL形状のみが出力されます。Fig.2に、上記機能により計算された磁場分布をFEMAPで表示したものを示します。Fig.3にシェル要素メッシュを入力データとした場合の磁束密度ベクトル分布を示します。
以前のEMSolutionは、評価点がCOILから十分遠方にある場合、自動的に三次元形状で入力されたCOILを線電流として近似計算していましたが、現在はその評価点からCOILまでの距離に対して判定値を入力できます。十分遠方では、三次元形状で入力されたCOILの作る磁場と線電流で近似したものは非常に精度良く一致し、さらにCOIL磁場を線電流近似で計算することで計算が速くなる場合があります。また、COILの計算方法を改善した結果、精度が向上しました。なお、本例題に用いたコイル形状寸法は、"COIL(外部電流磁場ソース)を用いた静磁場解析"などで使用されている、電気学会技術報告 第286号:「三次元静磁界数値計算技術」にあるベンチマークモデルです。
この先は会員の方のみご覧いただけます。
©2020 Science Solutions International Laboratory, Inc.
All Rights reserved.