EMSolutionでは、静磁場解析の結果を初期状態とし、リスタート機能を用いてコイルに定電流あるいは定電圧電源を接続し過渡解析を行うことができます。 また、"定電圧電源を接続したコイルの解析"で示しましたように、前の過渡解析の結果を初期状態とし、解析を続ける事ができます。このとき、定電流電源を定電圧電源に変更する事ができます。また,この逆の定電圧電源を定電流電源に変更してのリスタートも可能です。このことにより、種々のスイッチ機構を含む解析が可能になります。ここでは、定電流電源と定電圧電源が時間的に交互に使用される簡単な例を紹介いたします。
例として、定電圧電源を接続したコイルの解析で使用した同じモデルを用います。すなわち、"ELMCURを用いた静磁場解析"で用いた線形磁性体ブロックが中心にある方形コイルのモデルを使用します。3000Tのコイルに、まず、定電圧電源で電流を0Aから1Aに直線的に0.1秒で立ち上げます。続いて、0.1secの間、電源を定電圧回路とし、電圧を0V(短絡状態)として電流を落とします。時刻0.2秒で再び電源を定電圧とし、同じようなサイクルが繰り返されるとします。
結果をFig.1に示します。0から0.1secおよび0.2secから0.3secの間の定電流フェーズでは電流が入力となり、電圧が求まります。0.1から0.2secおよび0.3から0.4secの定電圧フェーズではその逆となります。定電圧電源を接続したコイルの解析で示したのと同様に回路計算から求めたものとよく一致しています(図には示していません)。
この解析では4フェーズのそれぞれに対してEMSolutionを実行しています。入力データは、サンプルデータのinput.1、input.2、input.3、input.4です。二番目の実行以降はpre_processingは必要ありません。それぞれ実行はステップ番号1から始まりますので、ご注意ください。 メッシュファイルpre_geom2D.neuおよび2D_to_3Dは"ELMCURを用いた静磁場解析"と同じものを使用します。定電圧電源に対しては、電流初期値として前の実行結果の電流値を入力してください。定電流電源に対しては電圧初期値は必要としません。
10ステップ分の時間微分量を出すために、計算は11ステップ行っています。それぞれ、前に実行した10ステップ目の状態を初期条件とします。すなわち、出力されるsolutionsファイルをold_solutionsとファイル名を変更して、次の実行に使用します。
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