EMSolutionの基礎では、EMSolutionの機能や特徴を,経験を交えながら紹介しました。また、それに関連し、有限要素法磁場解析における手法の意義や問題点を述べたものです。
始めに述べましたように、EMSolutionは大規模電磁場解析に対して、多機能で高速な解析ソフトウェアを提供することを主眼として開発を進めてきました。そのため,メッシュ生成やポスト処理は他の市販ソフトに依存しています。実際の解析現場においては、モデル作成やメッシュ生成に多大の労力が必要としていることを考えますと、電磁場解析に適合したモデラー等の開発が切に望まれていると思われます。ごく近年、モデラー関連の開発も始めており、より多くの方の意見を取り入れた使い勝手のよいものにしていきたいと考えておりますので、ご要望等ありましたら是非お問い合わせいただければと思います。
磁場解析の一つの問題としては、磁性体の異方性、非線形性の問題があります。特にヒシテリスを 含む問題は、装置の効率化を図る上で今後ますます解析の必要性が増すものと思われます。しかし、この解析を実用化することは一筋縄ではいかないと感じております。磁気特性の複雑さ、多様さを考えますと、プログラム開発だけで済む話ではなく、磁気特性の計測、実機の設計、製作も考え総合的に解析法の開発を進めていく必要があるのではと思っております。最近、ヒステリシス解析手法としてPlayModelを適用した解析[33]を先駆けて実装致しましたが、先に述べたように計測等と協力しながら、設計に使える技術にして行くべきと考えております。
もう一つの問題点として、微細構造を含む場合があります。例えば、多数の鋼板が重ねられた積層鉄心を有限要素法でそのままモデル化することは不可能です。このような系の磁場解析を行うために,均質化法を適用した解析を行うことができます。商用周波数程度では測定値と比較しても非常に良い結果を得ることができることを確認しています[34]。しかし、表皮効果の現れる高周波領域では適用できないと考えら得るため、今後さらなる改良考えて行く必要があると思われます。
近年、解析がますます大規模化し、将来的には計算機単体では対応しきれなくなってきております。そこで最近、多ノードを使用したMPIによる並列計算に取り組みだしており、従来の10倍の要素数(例えば3,000万要素)の解析を従来と同程度の時間で行えるようにしたいと考えております。
最後に、できるだけ一般的には述べたつもりですが、特に引用等につきましては、弊方に偏ったところもあるとは思いますが、ご容赦お願いいたします。
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